2005年4月
米国EPA発がんリスク評価ガイドライン発行
 

3月29日、米国EPAは、環境汚染物質への暴露に伴う発がんリスク評価に
適用する原則と手順を示した文書"Guidelines for Carcinogen Risk
Assessment (Cancer Guidelines)"の最新改訂版を発行した。
このガイドラインは、2003年3月3日に最終ドラフトが発行されて以来、
パブリックコメントおよび外部専門家によるピアレビューを経て最終化されたもので、
米国EPAが現在実施中または今後実施する化学物質の発がんリスク評価に
適用される。最新ガイドラインでは、1986年9月に発行された発がんリスク
評価ガイドラインで設定されたA,B,C,D,Eの記号による発がん分類に替わって、
下記の表現によって発がんリスクを示すことになる:

   
  Carcinogenic to Humans: ヒトへの暴露と発がんの因果関係を示す
説得力のある疫学データが存在する。もしくは、強い疫学的証拠と実験動物
における広範な発がんデータがあり、作用メカニズムが明らかで、ヒトにおいても
その作用メカニズムが起こり発がんに結びつくことが予想される場合。

Likely to be Carcinogenic to Humans: 発がん作用およびその他の
データからヒトにおける発がんの可能性が十分に示唆されるが、ヒトにおける
発がん物質であると明言するには至らない場合。

Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential: ヒトまたは
実験動物におけるデータから発がん性が示唆され、発がんの懸念があるが、
それ以上確実な結論を導くには十分ではない場合。

Inadequate Information to Assess Carcinogenic Potential:
既存のデータは評価を実施するのに不十分である場合。

Not Likely to be Carcinogenic to Humans: 既存のデータから
ヒトへの有害性の懸念はないと結論することができる場合。

   
  このガイドラインの発行と同時に、米国EPAは、0歳から16歳の子供における
化学物質暴露の発がんリスク評価のガイダンスとなる"Supplemental Guidance
for Assessing Susceptibility from Early-Life Exposure to Carcinogens"
を発行、感受性が高いと考えられる発達期における発がん物質への
暴露のリスク評価へのアプローチを示した。今後この分野における科学研究の
進歩を取り入れ、ガイダンスを改訂する作業を迅速に進めるため、この文書は、
発がんリスク評価ガイドラインとは分けて発行されている。
   
  米国EPA発がん評価ガイドラインその他関連文書は下記インターネットサイトより
全文のダウンロードが可能である: http://www.epa.gov/cancerguidelines
   
  この件の詳細に関するご質問は、米国EPA William P. Woodにご照会下さい:
  Phone: 1-202-564-3361 / risk.forum@epa.gov